依頼者視点でのSkebの「敷居の高さ」について


はじめに:Skebの敷居について考えてみました

 前回、Skebの使用感についてのレポートを書いたのですが、追加で「Skebに関して思うこと」などについて書いていきます。


クリエイターさん視点だと敷居は低い?

 Skebはクリエイターさんに配慮した作りになっています。

【クリエイターに配慮された作りの例】

・絵の著作権はクリエイターのもの
・クリエイター側は同人誌への収録など自由にできる
・リテイクなし
・依頼者とのやり取りも簡易的で打ち合わせ負担少ない
・報酬未払い問題が発生しない

 上記のようにクリエイターさんに配慮した作りとなっており、その事もあってかクリエイター側の登録者数は12月8日時点で5000人を突破したようです。

 手数料が最大13.6%かかるのが高いんじゃないか、という話もあり、私も正直「高い!」と思ったんですが以下の記事を読んでからは「安い!」と思うようになりました

scraiv.net

 私は依頼者側なので判断つきかねるところもあるんですが、先に挙げた事を踏まえるとかなりクリエイターさんに配慮された作りだと思っています。

 ただ、依頼者視点だといくつか敷居の高さを感じました

 双方が匿名で支払いも出来るという点は依頼者視点でも大変有り難いところなんですが、別のところで敷居の高さを感じました。

 次項ではその「依頼者視点の敷居の高さ」について書いていきます。

 

依頼者視点でのSkebの「敷居の高さ」

 依頼者視点の敷居の高さは以下のようなものがあると思っています。

 実際に自分で依頼した時に感じた事や、それにプラスしてツイッター等で散見した意見も参考にまとめてみました(これが全てではないと思いまし、的外れな意見かもしれませんがご容赦ください)

【依頼者視点での敷居の高さ】

・馴染みのないサービスで使い方わからない
・作例が見づらい
・Skeb内での検索機能が使いづらい
・依頼相場がわかりづらい
・失礼になりそうでこわい
・手軽だが140文字でつらえきれない事がある
・エロ関係の良し悪しの判断がわかりづらい
・用途が限られる
・金額が高い

 次項から上記の「敷居の高さ」に関して詳細と対策案を書いていきます。

 

敷居の高さの詳細と対策案

○馴染みのないサービスで使い方わからない

 使ってみたいけど、使い方がわからないから~で尻込みしてる人はいると思います。かなりシンプルで使いやすいんですけどね。

○作例が見づらい

 Skebの個別ページに飛んでも依頼が無い限り、展示できる作品はアイコンとツイッターのヘッダーぐらいなので作例が見づらいと思いました

 これに関してはツイッター等で「これぐらいのものを10000円~受け付けます」と作例と金額を提示してくださってる方もいらっしゃるんですが、依頼する立場だと「Skebの個別ページ見づらいな……」と思わずにはいられませんでした。

 ただ、この点に関しては今後改善されていくと思います

 Skebは今のところまだBETA版ですし、公式ツイッターでも今後パワーアップしていく事を明言してくださってます。

 個人的にはSkebの個別ページだけで検討しやすくなってくれればいいのですが、それが厳しそうなら作例(作品集とか)を提示してくださってるページへの直接リンクを貼れるようにしてほしいな~と思っています。

 もしくはツイッターで「Skeb参加中」というハッシュタグで作例紹介をつぶやいてもらったり。一番は個別ページだけで完結する事だと思うんですけども。

○Skeb内での検索機能が使いづらい

 これも今後充実していくはずですが、Skebの検索ページだけで自分が描いてほしいような絵を描いていらっしゃる方を探すのは「難しい」と感じました。

 とはいえ、基本的には好きな絵師さんへの依頼になるでしょうから、依頼の入り口としては絵師さんそれぞれのツイッターとかその辺りになるんでしょう。

 ただ、Skeb内での検索機能も充実した方が内部と外部の両方でマッチングが出来てより素晴らしくなるんじゃないかな~と思います。

○依頼相場がわかりづらい

 いくらで頼めばいいかわかりづらいんですが、これに関してはもう仕方がない気がします。一口に「可愛い女の子の絵」といってもそれにかかる手間は絵師さんそれぞれ違いますし、詳細に指定したら金額も上がる事になります。相場は絵師さんごとに違います。

 ただ、前述したように「10000円~受け付けます」と金額の目安を書いてくださってる人もいるので、そういうのはすごく参考になりますし、依頼者側としては心理的なハードルが一つ下がって助かります。

 一応、システム的には「依頼を投げる→ダメなら返金される」という仕組みなので、とりあえず依頼してみるという事は出来て、運営の方の方でもそれを推奨されています。

 絵師さんの方でも金額によって内容を調整して貰えるのはわかるんですけど、それでもやっぱり「いくら」で「どれぐらい」描いてもらえるかは事前にわかったほうが依頼者側としては助かります。

 それを押し付ける気はありませんが、目安だけでもわかると助かるんです。

○失礼になりそうでこわい

 すごい、情けない話なんですが依頼した事が「失礼にあたるんじゃ……」と心配で怖くなるんですよね。私なんかが依頼していいのかと恐れ多くなる。

 その失礼になるかもしれないけど依頼したい、という石橋を叩いて渡るための杖として「いくらぐらいでリクエスト受け付けてるんだろ?」「どういう作品を描かれてるのかな?」と調べたりしています。

 そもそもSkebに登録している時点で依頼を受ける予定はあって、クリエイターさん側では「とりあえず投げてこいよ!」と待っていてくれると思うんですけど、キャッチボールの第一投をするのが緊張するんですよ。

 知り合いの絵師さんだったらこの辺のハードルが一つ下がります。知り合いでも最低限のマナーは守るべきで当然守りたいと思っているんですが、知らない人相手に話をするのはネット上でも緊張するんです。

○手軽だが140文字でつらえきれない事がある

 前回のレポートで詳細に書いているんですが、私は小説の挿絵を依頼したため、Skebの140文字では伝えきれない依頼でした。

 これはSkeb本来の使い方ではないので、140文字のメッセージに関しては今後も変わらなくていい気がします

 ただ、例えば「挿絵用の絵とか詳細な依頼も受け付けるよ~」って言ってくださる方の場合、どういう方法で詳細相談に乗っていただけるかもツイッター等で明言してくださると助かります。

 逆に「企業ならともかく、個人からの詳細依頼は受け付けない」と事前に書いておいて貰えるとそれはそれで諦めがつくので助かります。

○エロ関係の良し悪しの判断がわかりづらい

 Skebで「凄いな~」と思った事の一つとして規約があります。規約を話し言葉でも書いてくださっているんですよね。わかりやすくて助かります

 ただ、NSFWの基準は個人的に全然わかりません。学校や職場で見るのには向いてないお色気系のイラストは良くても、ガッツリと二身合体してる絵はダメなのかの基準は正直よくわかりません。多分、駄目なんだと思います。多分。

○金額が高い(※値下げしろという話ではない)

 一枚の絵を描く事にすごい手間がかかる事はわかります。ただ、好きな絵師さん相手でもポンと1万円払うのは結構、ハードル高いんですよね……私とか貧乏なので。

 絵師さんへのお布施だと思っても、愛だけで支払い続けるのは正直キツいです。お金に余裕があれば払いたいんですよ! でも、私、薄給なので!! 毎日ポンポン依頼するのはさすがにキツくて……私、石油王じゃないから……。

 値下げしろという話ではありません。値下げはしてほしくないです

 私が生活のためにお金を出しきれないように、絵師さん一人ひとりにも生活があり、低い依頼料で受けるのが常態化するのは全然よろしくありません。

 クリエイターの方々を支援するためなのに、値下げとかで負担かけるばっかりだったら本末転倒ですし、値上げしてもなお「払わせてください!」という状態に持っていってほしいです。バンバン必要な金額を提示してください。

 次項では金額問題を値下げせずに何とかする方法について考えます。

 

「値下げはするべきじゃない」と思う理由

 私は貧乏なので依頼料が高く感じる事もあるんですが、それでも値下げはするべきじゃない、と思います。値下げしたらクリエイターさんが儲からなくなるし駄目です。

 クリエイターさんそれぞれが考えた請負金額は自信を持って提示し続けてほしいです。私はSkeb等のサービスにより、クリエイターさんが儲かり、創作業界が盛り上がる事を望んでいます。一度値下げしたら値上げしづらくなります。

 

金額に納得して依頼した理由(私の場合)

 私は既にSkeb経由で依頼を行っていて、今後もSkebで依頼していく予定です。

 実際に依頼した際は提示された金額に対して「高い」とは思いませんでした。「なぜ金額に納得して依頼したか」と言うと以下のようなものになります。

【提示金額に納得して依頼した理由】

①好きな絵師さんを少しでも支援したい

②好きな絵師さんに描いてもらいたい

③小説の挿絵として使える絵を描いてもらいたい

 ざっくり挙げると上記の3点です。

 ①と②の時点でも依頼する利益が生じ、そこにさらに③の付加価値が生じています。①と②の時点でも有り難いんですが、③でお釣りまでいただけ形です。嬉しい。

 値下げはせず、その上でクリエイターさん側の負担にならない範囲で付加価値を増やしていく事が出来たらSkebを利用する人はさらに増えるんじゃないかなぁ、と思います。

 私が依頼した時の付加価値は「挿絵として使っていい」というものでした。

 双方が無理せず、双方が得する形に持っていければ文化として根付いていくはずです。値下げはホントだめ。無理をするのもホントだめ。

 

挿絵許可で生まれる(かもしれない)付加価値

 Skebの規約では挿絵利用に関しては対象外で、挿絵として使う場合は個別に許可を取っていく必要がありますが、挿絵可になるとこういった付加価値が生まれると思います。

【挿絵許可による付加価値】

・自分の小説に挿絵がつく→うれしい

・しかもその挿絵は好きな絵師さんが描いてくれた→うれしい

・文章で表現し辛いところが挿絵で表現される→わかりやすい

 

 Skebリクエストの140文字では挿絵の内容を依頼しきれない問題があり、かといって外部で打ち合わせしていたらSkebの売りである「手軽さ」を殺してしまう事になるという問題もあります。

 ただ、小説家になろうとか一次創作の場なので、その辺りとネット小説とガッチリ噛み合えばSkeb需要が爆発的に増える気がするんです。個人的には。

 同時に新たな問題も浮上してくるでしょうから、仮に需要が増えたところでそれが正しい事とは限らないのが悩ましいところ

 

付加価値創出の考察

 私の場合は「へへっ、殆ど読んでもらえない自分の糞文章に挿絵をつけてもらえたぜ……」「数少ない読者さんに情景を伝えやすくなったぜ」という付加価値までつけていただけたのですが、万人が「挿絵利用可」で利益を得られるとは限りません。

 付加価値に関しては人それぞれで、当然、好きな絵師さんに描いて貰えるだけで何万も出す価値があると思われる人もいるでしょう。ただ、それも万人に共通する項目とは限りません。

 個人的には――あくまで個人的には――絵師さん側のSkeb受付スタンスを表明している場所で、事前に「挿絵利用相談も可」なども書いてもらえてたりすると依頼しやすいです。

 私は描いていただいた挿絵に関し、「これは○○さんが描いてくださったもので、○○さんは他にも依頼受け付けてますよ」とガンガンと絵師さん側の宣伝したいんですが、掲載してる場所が外部サービス等の宣伝しすぎるので、多少の紹介ぐらいしか出来ないんですよね。

 付加価値付加価値と言いながら、依頼を受けていただく事で絵師さん側が得られる付加価値(自分の名が売れたり次の仕事に繋がる等)をつける事が出来ない点は申し訳なくなります。すみません。

 

逆に値上げ出来るぐらいになってほしい

 個人的にはホント、値下げは止めた方がいいと思います。

 逆に値上げ出来るぐらいになってほしいんですが、そうなると依頼者側が「その金額でも依頼したい!」と考えるだけの根拠が必要になります。

 それは愛だけで事足りる人もいれば、それ以外の付加価値も必要になる事もあり、少なくとも両方を狙い撃ちできて双方が幸せになれるような状態になれば値上げしたところで問題なく存続し、さらなる需要が生まれていくと思っています。

 

クリエイター側の付加価値は?

 ここまで手前勝手に「依頼者側の利益」と語ってきましたが、双方が幸せになる道を模索する以上は絵師さん側にも「描く事で生まれる付加価値」があるべきです。

 逆に絵師さん側の「依頼を受ける事で生まれる付加価値」で何かいいものがあったら教えてほしいです。描いたんだからガンガン宣伝しろよな、とか。

 空リプとかでもいいので教えてほしいです。